如水

K-19の如水のレビュー・感想・評価

K-19(2002年製作の映画)
4.2
この映画での艦長は非常に優秀なのだが、共産党からの期待とプレッシャー、父親が収容所に送られた過去などの偏見を払拭したいという功名心から柔軟性を欠いている。しかし最終的には知性に従った決断を下す。
クラウゼヴィッツも述べているが、軍隊ほど知性(バランス感覚)と勇気(責任に対する)を要求される職種はないだろう。世界史を見ても、過激に走り易いのは常に政治家で、高等教育を受けた軍人はイデオロギーを蚊帳の外に置き、合理的思考を常とするバランス感覚をもっている。その為、常に上からの要求(したい事)と成果(できる事)の間で板挟みになる。
そこら辺の心情が潜水艦という密室空間を舞台に非常によく表現されている。 キャサリン•ビクロー監督は、この手の軍人の心情心理を表現するのが実に巧みである。

また原発事故を身近に経験した日本人として、福島でも我々の知らない処でこの様なドラマがあったとしたら、本当に頭の下がる思いだ。
如水

如水