ちゃん

おもひでぽろぽろのちゃんのレビュー・感想・評価

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)
4.0
ひたすら懐かしい。心地よさも、あまり思いだしたくないものも、その両方も思い出した。
所々に散りばめられた共感の余白が起点になって思い出がばーっと広がる感じ。犬を連れて2時間も散歩したこと。事故の怪我で健常者では無くなるかもしれなかったこと。クラスメイトの女の子がタバコ臭かったこと。普段話さないクラスメイトと小さな図書室で取り留めもない話をしたこと。タエ子は小学5年生の自分を田舎への旅行に連れていったけど、思い出せるのはこんなぼんやりとした記憶の断片ばかり。でもその頃に経験した、何も知らないが故の悩み、不安、いらだちみたいな、風呂でのぼせてむせかえるような感情はそのまま思い出すことができた。頑固な父親、あまりにも鋭い本音を不意に出してしまう母親、意地悪な姉妹と言ったテンプレート的な家族像はそれに拍車をかけ、主人公に自分を投影してしまうこともあった。私も「頭悪いくせにこだわるたち」なので、その点で共感できることは多かったのかもしれない。
 タエ子は過去の自分、小学5年生の自分が持っていた気持ちをそのまま今の自分にも持ち込んでいたけど、結局はトシオという第三者によってこのこじれた感情を解きほぐすことができてしまった。よかったね。
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