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ゲキ×シネ「蛮幽鬼」のイシのレビュー・感想・評価

ゲキ×シネ「蛮幽鬼」(2010年製作の映画)
3.9
劇団新感線、名作揃いのいのうえ歌舞伎シリーズの中の名作。
シナリオのベースは、デュマのモンテクリスト伯(巌窟王)。
仲間に裏切られ、無実の罪で投獄された男の復讐劇。
ですが、そこは中島かずきさんの脚本。
単なる復讐劇にとどまりません。

復讐を誓う男とその男を助ける暗殺者の男。
この2人を軸に復讐劇が展開されるのだが、
少しの違和感から、物語があらぬ方向へ。
国家権力の簒奪へと進んでいきます。

物語の終盤、暗殺者の男と黒幕が会話する場面。
権力簒奪のために仕組まれた筋書きに、ゾッとしました。

個人の復讐劇が、国家存亡の危機にすり替わるとき、
物語はどう帰結するのか。
最後まで目が離せません。

演者の方々も豪華で、
復讐鬼となる男を上川隆也さん、
暗殺者の男を堺雅人さん、
復讐鬼の男の元婚約者を稲森いずみさん など。
暗殺者と同じ一族の者役で、若き日の早乙女太一さんも出演されています。
この頃から太刀捌きがかっこいい!

暗殺者の男役の堺雅人さんが一番輝いてる!

爽やかな笑顔で、簡単に人を殺す狂気を見せつつ、
強かな策士の顔を隠し持つ。
作中、最も不気味で恐ろしいのですが、
愛くるしさをも醸し出せるのは、堺雅人さんだからでしょうか。

爽やかで不気味な堺雅人さんは、一見の価値ありです!
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