だいくさん

PASSIONのだいくさんのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
4.5
バス、タクシーでの会話劇、人物を正面から捉えるカメラワークなど濱口監督のイズムが出生作には詰まっている。上っ面を撫でるような身も蓋もない会話から始まり真実を話すゲームに至るまで、ワードセンスと温度感が徹底してリアリズムに則っている。
群像劇の本作でも際立って見えたのは教室で暴力の是非について問う場面だ。体感15分くらいのシーンであるが最も濃密で衝撃的だった。
「暴力をなくすために暴力を許すこと」このポリシーを持った彼女が皮肉にも登場人物の中で一際傷ついている。

濱口作品は心に沁み込むと同時に抉られもする。
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