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果てなき船路のICHIのレビュー・感想・評価

果てなき船路(1940年製作の映画)
4.0
ジョンフォードが海洋物で武器を積んだ貨物船に乗った船乗りたちの苦難を描くが、怪我をして治療も受けられないまま死んでゆく男とか、スパイの疑いをかけられた男の箱の中身が妻からの手紙だったとか、そこでのエピソードがなんか今ひとつで、船が目的地に到着して船乗り達が港に降りて、これで終わりなのか、物足りないぞーと思っていたらここからが凄かった。若くて純粋なジョンウェインが給料を上着のポケットに縫い付け故郷のストックホルム行きの列車に乗るチケットも買い、時間があるので仲間達に誘われてちょっと危ない感じの酒場に入る。時間なので出て行こうとすると店主の差し金で1人の娼婦が戸口で彼を呼び止めるのだが、女が完全な影となりその影に呼び止められ酒場へ引き戻されるそのショットが凄い。そして睡眠薬入りのビールを飲まされ「地獄船」と呼ばれる船に乗せられ、まるで車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」の博多行き。間一髪で仲間がジョンウェインを救い出すが「駅馬車」でアル中の医師を演じていたトーマスミッチェルがほとんど身代わりとなって船に乗せられ、後日、その船が沈没したことを伝える新聞が水の中を漂うそのショットの凄さ。これも劇場で観るべきだった。
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