Rita

セリーヌとジュリーは舟でゆくのRitaのレビュー・感想・評価

3.8
ファンタジーな不思議な感覚を纏う作品。

パリの公園でふとしたことから知り合った魔術の本を読んでいたセリーヌと魔術師のジュリーは、郊外の屋敷の中で幽霊たちが、毎日同じ物語を演じているのを見る。その結末では必ず、一人の少女が毒殺されることになっているのだ。セリーヌとジュリーはその少女を救出しようと、魔術の力を借りて幽霊屋敷に乗り込み結末を変えようとするのだが。

屋敷から出ると口の中には謎のキャンディと背中には赤い手形。キャンディを舐めると見えてくる過去の幻影。「現実」と「幻想」を行き来する。彼女たちは幻影を"鑑賞"しながら劇場にいる私達"観客"の方に向き合うように撮っているのは面白い。

屋敷で好き放題暴れて、遊戯なセリーヌとジュリーを見ていると私まで面白可笑しくなってきて楽しかったです。終わりの無い迷宮の世界線に囚われた二人。おかしな夢を見たような感覚、まるで「不思議の国のアリス」のようなお話でした。

屋敷の中はまるで遺体安置所の様な雰囲気で実際の亡霊は操り人形のようで、青白い顔の遺体が動いているかのよう。とくに怖かったのが怪我をした亡霊が「お願い、助けて」と言い続けセリーヌが洗面所に連れて行き手当をする時、亡霊がセリーヌの肩に寄り掛かる場面。ジュリーに傷の手当を変わるよう必死に訴えていたのは笑った。

さすがに3時間は長くて同じシーンが繰り返し続いたのもあり退屈にもなりましたがセリーヌとジュリーが殺人を防ぐ為、屋敷に突入してからの展開が楽しくて魅入ってました。自分のことしか考えてない変な人達の集まりという感じの家庭構成というか、行動までも笑えてくる。タイトルにある"舟"はいつ登場するのだろうと思っていましたが、ラストの舟のシーンは下手なホラー映画よりも断然ホラーだった。
Rita

Rita