『座頭市物語』の犬塚稔脚本、『不知火検校』の森一生監督という黄金コンビだが、劣化『不知火検校』に落ち着いてしまったかな。
主人公の長庵はかなりの卑劣漢であり、鬼畜の所業を繰り返していく悪医者だ。
初っ端から猫を殺し、医者の師匠を騙してその肉を食わせ、その娘を犯し、さらにそれをネタに恐喝…
女に貢がせたら売り、真面目な男からは陰湿な計画で嫁を寝取り、邪魔な人間は片っ端から暗殺。
勝新のやった役では『不知火検校』の杉の市に次ぐ悪逆ぶりだろう。
濡れ衣を着せられた天知茂が引き回しの刑に処されているのを見ながら、子供のように無邪気に笑うシーン。
やっぱり勝新は、ピカレスクロマンや欲望をむき出しにした役の方がずっと魅力的。