「ベル お前は何が欲しい？」
「薔薇を一輪
この辺には咲かないから」
「なぜその薔薇を摘んだ
その薔薇以外なら何を盗んでも赦したのに」
「晩餐は必ず一緒にとる
食事の時には君を見ても？」
「主人はあなたです」
「ここでは君が主人だ」
「私たちは行かないわ」
「みんな野獣に食べられれば良いのよ」
「ベル 私を見てはいけない
その目で私を見るな」
「私の心は善良だ
だが姿は醜い」
「貴方より醜く それを隠してる男も多いわ」
「私には醜さだけなのだ」
「でも貴方はそれを知っている」
「お願いです 家に帰らせて
父に会いたいのです」
「やめてくれベル
膝をついて君に願うのは私の方だ」
「生きてください」
「人間なら君の言う通りにしただろう
だが私は獣だ」
「君の愛だけが私を自由にし得た」
「どうした？」
「誰かによく似ている...
私の友人だわ」
「愛していたのか？」
「ええ」
「似ているのは嫌か？」
「ええ...
いいえ！」
「怖いのも素敵
貴方となら」
