Rita

美女と野獣のRitaのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1946年製作の映画)
3.6
幻想的な御伽噺の世界。

父親の命のために野獣のもとで暮らすことになった娘が野獣の純粋さに気づいていく恋物語。

ベルの衣装はとても美しく、野獣を探す姿かたちまでも芸術的。手をとりあい見つめ合い階段を降りる二人。全てに見惚れてしまう幻想的な映像美。

あんなに謙虚で自ら醜いと何度も謝罪している野獣の姿は胸が痛ましかった。しかし謙虚というのは、一輪の薔薇をお土産に望むベルと同じ共通点でもあり、ベルと出会ったことで心を開いていく様子はとても良かった。

醜い容姿に美しい心をもつ野獣、美しい容姿に醜い心をもつアヴナン。二人の対比に本物の愛を写しているのが素晴らしい。ですが、野獣は何故アヴナンの容姿になったのか。本物の容姿は消えてしまったのか、と疑問に思いました。野獣のままのほうが不気味さを感じずにいられたのだけれど。

フランスを代表する詩人であり小説家、戯曲家、画家、彫刻家、映像作家など、芸術的な好奇心と想像力をもつ20世紀フランスの芸術文化に偉大な足跡を残した天才ジャン・コクトー。

第二次世界大戦の悪夢によって荒廃した人心を癒す“大人のための御伽噺”として制作されたそうです。疲れた心には甘い恋物語が良いですね。
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