観終わって、静かに心に沁みわたるこの気持ちは感動じゃない。感動のオブラートに包まれた無念と虚無感+ほんの少しの希望。
5年の刑期を終えた若い女性パーシーが再出発に選んだのは森に囲まれた田舎の小さな町。その町で飲食店を経営するハナのもとで住み込みで働くことになる。
まっとうであるがゆえに苦しみ、プツリと切れた糸のように怒りがリミットを超え罪を犯した過去を持つ主人公。どんな理由があっても罪は罪。だが、新しくやり直したいと願い、癒しきれない過去と向き合いながら前へ進もうとしていた人間に対するこの結末はあまりにも救われない。再会、再生、悔悛・・部分的に見ればハッピーエンドはあるけれど誰かの犠牲の上に成り立った幸せに、手放しに良かったとは言えない自分がいる。
ラストは皆がそれぞれの立場で何かを悔い改めたり考え方を変えたようには見えるけれど、時間と共に風化しそうな淡白さもまた漂っているように感じたのは私だけだろうか。小さな町の閉塞感や排他性は、ひとたび仲良くなればとてもアットホームなのだが、よそ者に対しては冷たく無関心という性(さが)は変わっていないように見えた。他の誰よりも彼女にこそ幸せになってほしかったのに。。もたらされたものの代償だと考えるにはあまりにも大きすぎる。
ハナと息子のこれから、飲食店の新たなオーナー、社会復帰の支援基金などの希望のシーンを観ながら、みんなで届いた作文を読み上げて笑っていた短くも楽しい時間を思い出し、泣いた。