B姐さん

ヌーヴェルヴァーグのB姐さんのネタバレレビュー・内容・結末

ヌーヴェルヴァーグ(1990年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

差し出された手とそれを受ける手。そして、差し出されなかった手。
イメージの連鎖や所々のキャプション、庭師がブツブツと独り言を言いながらバルザックだかドストエフスキーだかなんだかを引用するあたりはいつものゴダール。しかし比較的にわかりやすいサスペンス調のラブストーリー。ゴダールっぽくいうと「手の奇跡」の物語。「差し出した手」を“肯定”するはなし。アラン・ドロンが出ているからか『太陽がいっぱい』を想起させるところもある。

酔っぱらって適当にビデオ屋で借り、家に帰っていつものようにぼーっと観始めたのだが、2回連続で見てしまった。1回目は普通に、2回目はヘッドホンで。クレーン、ドリー・ショットと別に派手ではないが豊かな撮影、いやそれよりも驚いたのは音。サウンド・ミックス。いやあこれはすごい。ちんけなTVのスピーカーでも凄さがわかる。ヘッドホンだともっとわかる。5.1chとかで聞いたら漏らしちゃうんじゃないか。
なので、宅配レンタルでDVDかBDでもう一度観たいと思い探したがやっぱりどこもない。仕方なくamazonを見たら廃盤状態。DVDは中古で7000円以上しやがる。BDは無し。

だから、そのスイスの、曇った空の、湖の、水の流れの、緑の、赤いルージュの、邸宅にさす光の、消えていくランプシェードの、そしてすべての音を記憶するために、わたしは何度も何度もVHSのテープを巻き戻す。
B姐さん

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