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ヌーヴェルヴァーグのodyssのレビュー・感想・評価

ヌーヴェルヴァーグ(1990年製作の映画)
2.5
【「理解」を超えて】

昔むかし、ゴダールの映画を何本か見る機会があったけど、ついに「いいな」とは思わずに終わった。

今回、DVDで、よりによって「ヌーヴェルヴァーグ」と名付けられた作品を見ると、音楽の使い方は穏当だし(ここ、かなり大事。彼の作品には音楽を相当に無神経に使ったものもある)、筋書きはつかめないけれど、イメージの連続として見てみれば、まあ楽しめなくもない。

付録として、ゴダールが来日したとき作家の村上龍と対談した映像が20分ほど付いている。アメリカの商業映画を批判し、映画はあくまで芸術だと主張し、自分の作品は絵画の印象派の末裔だと述べる。音楽からシーンを思いついたところもあるとか。

この「ヌーヴェルヴァーグ」にもアメリカ・ドルが高いとか安いとか買うとか買わないとかいうようなシーンがいくつか出てくるが、そしてまあアメリカ批判なのかなと思いながら見ていたのだけれど、もじゃもじゃの髪、そしてノーネクタイで葉巻をくゆらしながら芸術を擁護するゴダールは、やっぱりヨーロッパ人の一つのタイプを感じさせてくれる。そう思って映画を見れば、多少は理解できるようにな・・・・・るかどうかは、まあ、分かりませんけどね。芸術は容易な「理解」を拒むものだ、という意味のこともゴダールは話していたし。
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