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総攻撃のyoichiroのレビュー・感想・評価

総攻撃(1950年製作の映画)
3.5
12月9日 DVDで鑑賞
ノルマンディ上陸作戦に参加した、アメリカ軍のある小隊を描いた戦争映画。こじんまりとした上陸シーンや大半が記録フィルム(ノルマンディ沿岸のドイツ軍の海岸砲が出てくるのが珍しいか)で処理されている戦闘シーンに予算の少なさを感じさせるが、士官学校出の元教師である小隊長とベテラン軍人らしい中隊長との軋轢を中心に兵士達の人間ドラマが展開する。ハンフリー・ボガードやエドワード・G・ロビンソンのモノマネをするお調子もの、のび太君みたいな眼鏡の少年兵、愛犬を上陸作戦で失って悲しむ気のいい大男など、様々なキャラの兵士達がいるのはお約束として、戦場の中でドラマを生み出していく。しかし、ラストで昇進する中隊長が、後任に軋轢のある小隊長を指名し、指揮官の心得を説くシーンは感動的。「兵士達のころを知ろうとするな。兵士が傷つけば自分も傷つく。兵士が死ねば、自分の一部も死ぬ。それに耐え切れなくて精神が壊れた指揮官もいた」と静かに内心を吐露する。
この頃、シャーリー・テンプルとDVが元で離婚したジョン・エイガーが「硫黄島の砂」と似たようなインテリ将校の役で登場しているが、やがてB級SF映画の常連となっていく。
フランスに上陸してからは、現地のいたるところにあったという視界の効かない生垣越しの戦闘がスリリング。特に、生垣に隠した対戦車砲で米軍を待ち伏せするドイツ軍との戦いは、鬱蒼とした狭い一本道の中で近接戦闘がよく描かれていた。そして、解放したフランスの村で村人から歓迎を受けていると、突如敵の残党から奇襲を受けるが、ドイツ軍ではなく、親独のフランス人女性の民兵だったというのが珍しい。
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