トノモトショウ

隠された記憶のトノモトショウのレビュー・感想・評価

隠された記憶(2005年製作の映画)
3.0
ハネケ作品には常に緊張感と底知れぬ不安感がある。ひたすら静かに風景や事象だけが映し出され、淡々と時間が流れるシーンに何故ここまで心が揺さぶられるのか。ビデオの送り主が誰なのかというミステリー的な物語ではあるが、実際にはそれが誰であろうと構わないし、もちろん言及もされない。事件の原因となったであろう記憶の描写さえも、それが「疚しさ」を誘発するものであれば代替可能なのかも知れない。表にも裏にも真実はなく、もっと高次元にテーマがあるというクリエイションこそ、ハネケが非凡な映像作家である所以だろう。