ウホゴリラ

しとやかな獣のウホゴリラのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
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全編皮肉に包まれた映画。欲望を満たすために道徳を完全に棚上げにした価値観で動いている登場人物達を淡々と描く前半から一転、切実な動機が垣間見える寄りのシーンで一気に惹きつけられた。貧乏の記憶が鮮烈な時代だからこそ当時の観客はこの家族の行為を他人事と思えなかったんだろうと思う。現代では描けない生きることへの必死さがこの時代の映画が持つ強度の要因なのかな。
道徳観を失った当時の現代人を風刺する意図があったのだろうけど、完全に俯瞰視点で馬鹿にするのではなく内面にも少しだけ寄ってみせるバランス感覚が好きだった。
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