ShinMakita

疵のShinMakitaのレビュー・感想・評価

(1988年製作の映画)
1.6
世田谷の名家育ちのお坊ちゃん…にもかかわらず、喧嘩の強いチンピラとして都内でも名が知れていた伊達男、花形敬。
昭和20年代の後半、ダチの松田と組んで渋谷を仕切る「渋谷興業」に入った敬は、恋人・美佐子と籍を入れ、組内でも評価を上げていく。しかし事件を起こしてムショに行くことになり、出所してみたら周りの景色が変わっていることに愕然。松田は日和ってケンカ嫌いになってるし、組員たちは会社員みたいに銭稼ぎにしか興味がないしでムシャクシャが収まらない。結局若い奴らを率いて町をふらつき、松田のシノギ先で勝手に暴れてしまう。なんとか松田が頭を下げて、敬を大人しくさせようとするのだが…


「疵 きず」


「ちょうちん」が評価されつつ、TVではトレンディドラマで気を吐いていた陣内孝則の主演作。東映ヤクザ映画っぽくない欧米かぶれっぽい雰囲気なんですが、こういう雰囲気の変化が90年代もヤクザ映画が作られる下地になったので、ある意味、成功作。しかし、昭和30年代が舞台のわりにロケーションが適当だったり、脇キャラがちっとも描けていないしで、出来はよくないんだよなぁ。

ただ、70年代の東映を代表する実録ものと「安藤組」の雰囲気を理解する入門編としては入りやすい作品。いわゆる任侠道とはちょっと違う、極道というより半グレ寄りの外観だった安藤組は、高倉健や菅原文太のラインが苦手な人でも楽しめる題材のような気がします。
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