キューブ

スーパーサイズ・ミーのキューブのレビュー・感想・評価

スーパーサイズ・ミー(2004年製作の映画)
3.5
(16年2月23日 Netflix 3.5点)


 ドキュメンタリー映画のうち「自然・野生動物」系以外で初めて見たのがこの作品だった。
 まず、この映画が及ぼした影響がとても大きかったという事実は間違いない。現にアメリカのマクドナルドはスーパー・サイズを廃止したわけだし、「スーパー・サイズ」という言葉自体も(色々と無駄にでかい)アメリカを象徴する言葉になった。
 現に見ていてすごく面白い。この手の記録映画の良さはやはり、映画を作る人自らが実験台になる点だろう。ためになるだけでなく、「山のようなファストフードを食べて苦しんでいる人を見る」ことだけでも映画として成立している。しかし面白さと、実験そのものが成功したかどうかは別だ。
 スパーロックが食したハンバーガーの量は明らかに通常よりも多いし、メニューを選ぶ基準も曖昧だ。肝臓の硬化についても、様々な人が指摘しているとおり、ファストフードが原因になったかどうかは触れられていない。実際、映画に登場する「ビッグマック狂」の人は何年もビッグマックを食しているのにも関わらず、健康に被害が出ているようには見えない。
 こういった実験が基準を設ける上でとても難しいことは重々承知だ。でも映画としての面白さを追求するなら信憑性は重要ではない、という意見がある。ただしあくまでも「映画」としてだ。もしこれを現実の社会問題への提起として扱うなら、もっと完璧な実験が必要だろう。(「様々な専門家からの意見」のシーンはハッと息を呑むような話も多く、切り口も多種多様で良かったが。) 
 ぼくたち日本人からすると「何を大げさな・・・」という気がしなくもない。だけどアメリカ人からしたらこれは大問題だ。ファストフードはアメリカの歴史と言っても過言ではない。その偉大な存在に対し、疑問を投げかけたこの映画の試みは素晴らしい。
 安くてうまい。あの悪魔的ピエロの誘惑に打ち勝てるかどうかはあなたにかかっている。

(実のところ僕はこの映画を見ると、無性にマクドナルドに行きたくなる。ビッグマックをむさぼり、ポテトをつまみながら、コーラをすする。あー食べたい。)
(12年9月15日 BS 4点)
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