「オナカスイタ」・・・意味不明な文字の羅列が打ちこまれたメールが届き、そのメールを読むと過食死する。
主人公の過去にはバブル期崩壊時に多額の借金の返済に困り見捨てた妻と子が居て、悲惨な事にヤクザの追い込みにより妻子は家を抜け出ることも出来ず餓死していた。

オープニングから主人公の過去に不幸な事件があったことはすぐに予測出来るも、どこから奇怪なメールが送信されるのか？
また、なぜ本人が読んでも死なず、関係の無い第3者が読むと過食死するのか？
このミステリー要素を中心軸に、餓死した妻子とその祖母の因縁を盛り込むあたりは大変面白いとは思いますが、いかんせんシナリオが面白い設定を活かし切れず、映像化出来なかった残念な作品ですね。

”呪いの”メールも結局リング系だし、根底にある最大の疑問点”なぜに呪いがインターネットを介在するのか”シナリオが進んでも全く理解出来ないのです。
ただ、一見物語を強引に動かす牽引力的な登場人物である主人公の元同僚・川野太郎の訳知り顔とその過剰な演技から、実は物語のキーマン的な人物かと思わせながら、すかす演出（好意的に読めば）や、いきなり「扉を開ければそこは雪国であった・・・」の状況を一変させる仕掛けなど、面白い要素を含んではいるのです。

飽食の時代に餓死がテーマ？と侮る事無かれ、理由はどうあれ数年前に新聞紙上を賑わした元資産家姉妹が餓死した酷な事件が記憶に新しいですし、つい最近も母子の悲惨過ぎる餓死のニュースが・・・。
主人公は過去に妻子を捨て去り、今はのうのうと豪華なタワーマンションで何事も無かったかの如く、新しい妻子と仲睦まじく平穏に暮らす罰当たりな奴。
そんな卑劣な奴が餓死した妻子からどのような報いを受けるのか？
否、呪いを解除出来るのか？

最後に『またその”手”を使うんかいっ・・・』と茫然と虚しい独り言を呟いてしまう貴方の顔が想像出来るのです。

ダメ夫すぎる。
暗い雰囲気は好き。
最後のパソコンがな…