みょん

イントゥ・ザ・ワイルドのみょんのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)
2.0
最初はまぁ、なかなか斬新でいい映画だと思った…が、物語が進むにつれ、激しく嫌悪を感じてしまった…


裕福な家庭に生まれ育つも、両親に問題があり、大学を出たら、ひとりで旅をしたいと願う青年。

ここまでは、普通。

それを実行に移す勇気と決断力には並々ならぬ強さを感じた。


家族を捨て、ひとり、究極に自分らしく、やりたいことを全部やって生きる。
俗社会から離れ、荒野でひとり生きていく。

共感はできないけど、なんとなく気持ちは分かるし、まぁたしかに少し憧れもある。


子供のように可愛がってくれるヒッピーの夫婦。
青年を慕う、キャンプの16歳の少女。
農作業を手伝わせてくれた男性。
養子にしたいとまで願う老人。


旅を進めるにつれ、多くの話を聞き、様々な出逢いを経験していく。


「孤独だ」と日記に綴りつつ、本当の「孤独」に気づいていない。


彼に見えているのは、"アラスカ"だけ。


自分の幸せだけを求め、たくさんの人を悲しませていることに気づけない。


しかも、その自分の幸せさえも、虚構であることに気づかない。


親、妹、ヒッピー夫婦、老人、少女…。


そして、やっと物語終盤で気づいた、
"Happiness is only real when shared"
という事実。


今まで幾度となく、映画で議題にのぼってきたことだが、こんなにも響かなかったのは初めて。


口には出さずとも、生きていれば、それに気づかされる機会は多々あって、あれだけ、人に迷惑をかけて行き着いた先が、そんなことか。
そう思って、非常に陳腐に感じた。


愛に飢えた青年が、きちんとした信念と知識なく本を啓蒙的に読んだが故に、人との関わりの大切さと自然の脅威を軽んじ、ただただ、命を無駄にし、人を悲しませ、動物を殺した。
人間というちっぽけな存在がただ、いきがって、自然に挑んで、例のごとく完敗しただけの映画。


キャストの演技が皆素晴らしかっただけに、非常に残念です。
みょん

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