みおこし

カルメンのみおこしのレビュー・感想・評価

カルメン(1954年製作の映画)
3.4
最近小さい頃から気になってた作品をTSUTAYAディスカスで取り寄せられることが判明し、マイナーor品薄作品を徹底的に観てます。昔なら観られなかっただろう作品を観られるって幸せなことだな、と。

オール黒人キャストのミュージカル『カルメン』。ビゼーのオペラが元になってるんですが、私はオペラに疎いので映画を観るまで何の曲がカルメンのものなのか知らず...。再生ボタンを押した瞬間に聴いたことのある曲のオンパレード、あ、これね!って感じでハマれました。
ややこしいのは原作の原作はビゼーのオペラだけど、この映画の原作はミュージカルの祖であるオスカー・ハマースタイン2世のブロードウェイミュージカルってこと。だから時代設定も第二次世界大戦前後のアメリカになってます。

主なあらすじとしては、天性の◯ッチである魔性の女カルメンが、兵士ジョーの人生を翻弄していくという、原作とほぼ同じ内容。とにかくこのカルメン、いつもヘラヘラしてて強気で、かと思えば突然メンタルブレイクする情緒不安定すぎる人物。個人的には、いや、誰も共感できないでしょう(笑)。演じるドロシー・ダンドリッジといえば、初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた黒人女優として有名。もうスタイル抜群だしめちゃくちゃ美人です。若くして亡くなった薄幸の女優さんですが、この作品で一世を風靡したのも納得。

兵士ジョーを演じたのは、なんと大物歌手ハリー・ベラフォンテ!なのに歌ってない!吹き替え!何事!!(笑)パール・ベイリーも出てます。当時まだお若くて、クイーン・ラティファそっくり。

共感できないというのはさておき、作品としてはやっぱり曲がいい!!のに、なんか盛り上がりに欠ける。ミュージカルってこんなに退屈なものだっけ、と思ったら極端にダンスシーンが少ないんですね。
オペラ風の曲を熱唱、周りの人はそれを見つめてるっていうシーンがほとんどで、熱唱してる人の顔どアップで延々映されてもそれは飽きる...。ジーン・ケリーやフレッド・アステア全盛期のこの時代、ダンスなしではなかなか持たないことを痛感した作品でした。

カルメンはジョーに惚れて、彼のためにお金をやりくりしようとしてたはずなのに、すぐに心変わりする性格だから全く信用ならない。それにつきまとうジョーもだいぶ重い男だし、なんかもう2人とも「大丈夫ですか?」と問いかけたくなる(笑)。パール演じるカルメンの友達も、カルメンの親友だとか言いながら彼女を利用してるようにしか見えないし、薄っぺらいキャラクターだらけで全く感情移入できぬ!!唯一まともなのは、ジョーの恋人シンディ。彼女が歌うバラードはどれも歌詞が真に迫ってるし、唯一正論だった(笑)。でもキスシーンとかはやっぱり当時にしては画期的なエロさだし(笑)ドロシー・ダンドリッジの美貌には誰も勝てないので、ジョーが浮気しちゃうのもなんとなーく分かるかな。
見事映像化、しかも当時の世の中で黒人キャストの映画を撮りあげたプレミンジャーやっぱりスゴイ。

冒頭の女同士のキャットファイト、ベラフォンテの上裸をテカらせながらの外での熱唱が個人的には笑っちゃいました。迫力...!!
みおこし

みおこし