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素晴らしき哉、人生!のmtmt09のレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
5.0
「人生で一番落ち込んだ日に見る映画」という謂れがあるが、私はそんな日に見てしまったらそれこそ橋から飛び降りてしまう。
映画を観れば誰もが主人公と自分を重ね合わせる。しかし、主人公のキャラクターが自分のなり得ない存在だとしたら、しかしなりたい人物像そのものならば。それは大変烏滸がましいことに気づく。
この映画の主人公は人格者そのものである。そんな人間と自分を重ね合わせてしまうと哀しく今までの人生を回顧しながらそして「あの出来事も彼ならきっとこうできたのだろうに、、」と過去に目を向けてしまう。

映画の主人公はいつも仲間に恵まれ、笑いがあり、愛されている。それがどれだけ人生において大きな価値があるのか。全ての人間がそうなり得ないからこそ主人公になり得るのだと、24年間生きてきて初めて真剣に考えている。
大学の友人も高校の友人も、何もしなければ縁は切れてしまう。「繋げよう大切にしよう」という意識が無い限り、たいしたことのない自分との縁など簡単に切れるのは当たり前のことである。
自分自身に足りないものは「クリスマス精神」であると、最近ようやく感じているからこそ、この映画は強く自分に語りかけた。

「真のクリスマス精神とは、自分の幸せよりも他人の幸せを優先することであり、それによってこんなにも幸せを味わえるのかと気づくことである。」
周りを見渡せば私なんかにも優しさを与え、分かち合ってくれる人間がいる。私と縁を切らずに居てくれること、目を見て話してくれること、ご飯を共に食べてくれることに感謝して、自分が存在しなかった人生よりもその方々がより幸せな人生を歩んで貰えるように、私は生きて行きたいと思う。

このなんとなく心が躍るような12月の年末に向けた空気。やけに明るい装飾と、マライヤキャリーやフランクシナトラの歌声はこの空気の添加物に過ぎない。(食品表示法の8品目に含まれてはいないが。)主成分はきっと、なんとなく家族や大切な人を思い出し、一人ひとりが少しだけ人々に優しくなることの結晶なのだと思う。

今年からはこの空気に浸るだけでなく、この空気を生み出す一員になろう、そして12月だけではもちろんなく、365日その精神を持っていようと私は思う。

「優しくする」というのは単なる自己満足である。しかし、「相手の幸せを願い、あわよくばその手助けをする」ことを目的に生きたい。

私の人生の目標は、ジョージベイカーである。
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