このレビューはネタバレを含みます
ヤスミン監督はいつも様々な方法で登場人物の心の深い場所にあるシンプルな思いへ僕たちの目線を誘導してくれる。
悪役でしかないジミーでさえも、その行動の源は家族を守る思いからだと。ジミーの妹が「yes」と答えるのもジェイソンを本当に好きだったからだとハッキリと見せる。
そんな見せ方をされるとジェイソンの裏切りも、謝罪の手紙の中にみえるオーキッドへの真っ直ぐな思いに目線がいくのだ。
良いことも悪いこともアッラーに許されていくように。
そして、この物語の悲しさに救いをくれたのは誰よりもキョンだ。彼は間違いなくオーキッドを好きになって、でもジェイソンへの友情へその思いを溶かしていく。そしてラストシーンの声。キョンは観客の思いさえも救ってくれた。