COZY922

シカゴのCOZY922のレビュー・感想・評価

シカゴ(2002年製作の映画)
3.8
女はしたたか。女は怖い。見極めが早いかと思えば 性懲りなく同じ過ちを繰り返し、計算高いかと思えば 感情の赴くままに愚かなことをしでかす。そしてしぶとく這い上がる。そんな女の物語。

1920年代シカゴ。嘘やまやかしだらけのショービジネスの世界。ナイトクラブの人気ショーガールとそれを夢見る平凡な女。殺人を犯して投獄された2人の女が、口八丁で胡散臭い敏腕弁護士の手を借り、スキャンダルを逆手にとって成り上がる、皮肉に満ちた成り上がり劇。

いやいや〜、期待してなかったけどおもしろかった!皮肉と風刺がたっぷりで突き抜け過ぎてて(笑)。浮気、殺人、賄賂、嘘で塗り固めた法廷での弁論、金と欲にまみれた世界、刺激的なニュースに飛びつく大衆。書き出してみるとブラックな内容ばかりだし、2人の女は理由がどうあれ人を殺めたのに後悔の感情は微塵も感じられず、犯罪者なのにスター気取り。シリアスに観てしまうと受け入れ難いけど、ダンスや音楽がパワフルで、”無茶苦茶な人生だけど私しっかり生きてんのよ” という開き直りと 場末感溢れるサバイバル力に いつの間にか敬服したくなってくる不思議(笑)。

本作は現実と幻想のパートが分かれていて、現実パートのドラマの進行に合わせ 並行して 主人公ロキシーの幻想パートがミュージカルとして織り込まれるという、ちょっと変わった作りになっている。この異色の基本構造は明確に現実と幻想を線引きしてくれ、セリフを使わずに主人公の願いや妄想を伝え、同時に、 割と単純な成り上がり劇に変化をもたらすスパイスにもなっていて、新鮮だった。

判決直後、メディアや大衆は新たなネタに飛びつく。世間から見ると、どんなに刺激的な話題もひと時の消耗品なんだという事実を突き抜けられる終盤。が、それでもまた別の手段で這い上がる彼女達。悪人ながらアッパレ‼︎ 都会的な煌びやかさと、猥雑な空気や欲望の同居するシカゴという街に実に映える生き様だと言えるかもしれない。

本作のキャサリン・ゼタ・ジョーンズとレニー・ゼルウィガーのはすっぱな感じ、リチャード・ギアの胡散臭そうな微笑みなど、キャスティングもハマっていたと思う。
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