クロスケ

フェイシズのクロスケのレビュー・感想・評価

フェイシズ(1968年製作の映画)
5.0
【再鑑賞】
映画全体に終始蔓延る絶妙な気まずさ。その場にいたら、窒息してしまいそうです。一体どうすればこんな気まずい雰囲気を演出できるのでしょう。

そして、タイトルが意味する文字通りの顔、顔
顔…。必ずしも利害を共有しない男女の顔がクローズアップを多用した大胆なカメラワークで切り取られていきます。

手ブレ、ピンボケ、開放気味の絞り…並の映画であれば、切り捨てられるであろうそんな断片を、生きた画面たらしめているのは、執念すら感じられる編集の見事さです。

カメラの前に立つ登場人物たちの生の瞬間を捉えられれば、多少の画調の乱れも厭わない…そんな潔い芸当をやってのけるカサヴェテスは、腹の座った漢ですね。

正真正銘、紛れもない傑作です。
クロスケ

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