うめ

さよなら子供たちのうめのレビュー・感想・評価

さよなら子供たち(1987年製作の映画)
4.1
 こういうテーマに、こういう舞台設定、子供の視点から描きだす手法…どれも一度は観たはずのものなのに、何故か毎回グッと来る、ずっしりと重い。やはりこれが現実(ノンフィクション)の重みだろうか。
 ナチス占領下のフランスのカトリック寄宿学校が舞台。たまたまベッドが隣同士になったジュリアンとボネは本が好きという共通点もあってか、次第に仲良くなっていく。だが、ジュリアンは少しずつ知っていく、ボネはユダヤ人であり偽名を使って学校で生活していることに…。ナチスに占領され、ドイツ語を話すドイツ兵とフランス人が混在している状況のなかで、ジュリアンが徐々に自分たちの置かれている状況を把握していく様を描きだしているが、それが淡々としているため、見ているこちら側に実によくジュリアンの感情が伝わってくる。(もちろん、その年頃の男の子たちの様子もよく描かれている。取っ組み合いのケンカをしたり、ちょっといじわるしたり…ジュリアンの日常として微笑ましい部分も描かれている。)数学の授業、聖体拝領、二本のろうそく、パテ…ルイ・マル監督が自身の経験から制作されただけあって、その様子がとてもリアルである。
 終盤はやはりとてもつらい。そうなるだろうと、観る前からわかっていてもつらい。ジュリアンの視点に立たされていたからなおつらい…。私は、この作品を観て改めてヴィシー政権下のフランスについて学ぶことができた。知識だけでなく、まだまだ知らねばならぬことはたくさんある。それを教えてくれたこの作品に感謝だ。
うめ

うめ