上々亞洲

霊幻道士・完結編/最後の霊戦の上々亞洲のレビュー・感想・評価

4.5
道教といえば日本ではあまり馴染みが無く、それこそこのシリーズで初めて意識したくらいなので、その成り立ちや仏教との関係性についてはよく解らないけれど、どうやら中華圏では古くからライバルのような関係であったらしい。もしかしたら、この作品の道教と仏教の描き方には現地の人にしか解らない含みや風刺があるのかも知れない。
そんな両者がポツンと二軒家状態で片寄せ合っているという、シチュエーションコメディの舞台はとしては絶妙の設定。やいのやいのも至極当然なのであった。
長い歴史を持つ宗教のそれなりな立場にあるおっさん二人が極めて幼稚な争い繰り広げる様子が楽しくてずっと見ていたくなる(事実、劇場では10回観た。自宅での鑑賞を含めると28回観ていた)。
そんな風に正規シリーズ中で最もコメディに振った作品ではあるものの、ドキドキ感やアクションもしっかり楽しめるようになっており、自分は一作目に並ぶ快作と評価している。

28回観た。と書いたけど、実は李麗珍(ロレッタ・リー)がお目当てだったりもする。アクション女優ではないにも関わらず、所々で見せる身体能力はさすが香港女優。サイドキックからの張り手、受けてみたい…。
ちなみに役名の「チンチン」は漢字で書いたら「菁菁」。当然、イチモツとは何の関係もないのである。

道士と狐狸精が森で戦う場面ではよく見ると木の上に三人目の人物が確認できる。パンフレットには狐狸精役の王玉環(ウォン・ヨクワン)と羅美薇(メイ・ロー)が一緒に写っている写真があるので、おそらく狐狸精の妹という役割でメイ・ローがゲスト出演していたものと思われるが、何故カットされたのか?非常に気になるところなのである。

パンフネタと言えばもう一つ。道士が連れてくるコンシーの列の中に林正英(ラム・チェンイン)がいると書かれているが、これは東宝東和のでっち上げに違いないと思っている。『最後の霊戦』などという訳の分からんタイトルといい、ほどほどにしてもらいたいもんである。
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