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フェイス/オフのYのレビュー・感想・評価

フェイス/オフ(1997年製作の映画)
4.8
かつて冷酷無比のテロリスト、トロイの手によって最愛の息子を失ったFBI捜査官アーチャーは飛行場でトロイを捕らえたが、トロイがLAのどこかに細菌爆弾を仕掛けている事が判明する。当のトロイは植物人間となっており、唯一の情報源は獄中にいるトロイの弟ポラックスだけだった。FBI特殊班はボラックスから爆弾の設置場所を聞き出すためにアーチャーへトロイの顔を移植ことを決断する。
これはアクション映画の大傑作。
アーチャーとトロイを中心に行われるアクションはもちろんだが、この作品の最大の見所は主人公の心理描写だろう。
最も憎む存在である敵の姿になったアーチャーが全てを失い、絶望する様をニコラスが演じているのだが、その演技に胸を締め付けられて観ているこっちが苦しくなってしまった。彼の表情から内情がヒシヒシと伝わってくる。
両者とも入れ替わったあとではまるで別人だ。2人の表情だけで十分楽しめる。
なにより演出の一つ一つがニクい!
中盤に鏡を挟んで2人が対峙するシーンがあるのだが、そこに映るのは敵の姿になった自分。本当の敵を映し、真実を見せるのは鏡だけなのだ。
トロイが持つ金の2丁拳銃もカッコよすぎる。性格から察するに、彼はテロリストで無ければ普通にイイ男だと思うのだけどどうだろうか。
極悪非道だと思われたトロイも身内に対しては義理堅く、信頼も厚い。入れ替わってみることで相手の背景を知ってしまい余計に感情移入してしまう。
作品の設定自体はトンデモ設定でありえないのだけど、主演の2人であるジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの凄まじい演技力がこの作品をよりリアルに表現し最高のものに仕上げている。
傷を負ったアーチャーがイヴのもとを訪れるシーンや、自分がアーチャーだと理解してもらいイヴとの思い出を語るシーンには涙しそうになった。
ラストでトロイを射ち倒し板に銛で打ち付けるシーンは、協会でのシーンのキリストと照らし合わせているのだろう。
ニコラスの目はどうしてあんなにセクシーなんだろう。潤んだ瞳というのか……濡れた瞳と表現するのが好きだ。
この作品に関しては見所や盛り上がるシーンも多く、他にも言いたいことが尽きないのだがこの辺にしておこう。
入れ替わりものを観るなら『君の名は。』なんかより断然こっちをお勧めします!
私の場合、ヘタな恋愛映画よりは間違いなく泣ける!
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