monochica

ネルのmonochicaのレビュー・感想・評価

ネル(1994年製作の映画)
4.0
人里離れた山奥の、静かな湖のその畔に存在する一軒の家。その主の老婆の死をきっかけに、町医ジェリー(リーアム・ニーソン)はその家を訪問するのだが、そこで隠されていた若い娘ネル(ジョディ・フォスター)の存在が明らかになる。外界から隔離され育ったネルは独自の言葉を持ち、文化も思想も共有しなかった。
大学病院の研究医ポーラに相談するジェリーだが、ネルは野生児であり、精神鑑定や知能テストを行い、保護観察下に置くべきだと主張する。しかしジェリーは彼女を生活を壊すべきではなく、放っておくべきだとして、裁判へと発展する。論争のポイントは、ネルに一人での生活能力があるのかどうか。かくしてジェリーとポーラは3ヶ月間、ネルの近くで生活し、彼女を観察、交流することとなる。


言葉も思想もわからない野生児とどう接すればよいのか、当然手探りであたふたと身振り手振りを交わすのだが、ふとした瞬間に繋がったときの、小さな暖かさの嬉しさ。
論文の研究材料になればとしか考えていなかったポーラも、次第にネルという「個人」に触れ、考えを変えていく。
繊細で、静かで、それでも心をポオとさせる、そんなお話。
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