オーウェン

悪魔の追跡のオーウェンのレビュー・感想・評価

悪魔の追跡(1975年製作の映画)
3.7
終わり良ければ総て良し、とすんなり行かないのが、ジャック・スターレット監督の「悪魔の追跡」だ。
それは、この映画の持つ不気味な余韻が、観終えてもなお、ずっと尾を引くからだ。

恐怖映画も様々あるが、この映画ほど、その気色の悪さが持続する作品は、そうざらにはないだろう。

物語は、バイク工場を共同で経営するピーター・フォンダとウォーレン・オーツの仲のいい男二人が、それぞれの奥さんに扮するララ・パーカーとロレッタ・スウィットと、それに劇中での愛犬ジンジャーを連れて、バス、トイレ、キッチン、それにテレビまで備えたキャンピング・カーでレジャー旅行へ出かける、と言うのが事の発端だ。

その四人が、途中の川辺で旅の一夜を楽しんでいた時、彼らは"悪魔族"みたいな連中の怪しげな儀式を目撃する。
それは、一人の若い女が、さながら生贄のごとく殺害されるという、何ともおぞましい光景だった。

だが、その望き見を連中に悟られた四人は、執拗で激しい追跡を受けることになる。
そして、ここに「悪魔の追跡」が始まることになる--------。

さらには、彼ら夫婦が立ち寄った町の図書館で、「他言はするな」との連中の警告を無視して"悪魔族"について調べたり、地元の警察にあの殺害現場の調査を依頼するなどしたため、怒った彼らに徹底的に追われる羽目になってしまう。

不気味なのは、その警察の中にも一味とおぼしき奴がいたり、逃げてたどり着き、ホッと一安心したのも束の間、キャンプ場の客もどこか怪しかったりと、観ているこちら側も気の休まることがない。

かくて、そんな手を変え品を変えての、恐怖場面が連続することになるのだが、愛犬のジンジャーがキャンピング・カーの中でなぜか突然、怯えるように、唸り声をあげ出す場面あたりから、ジャック・スターレット監督のショック演出が冴えてくる。

中でも、狭い車内で突然ガラガラヘビに襲われる場面など、結構、怖い。
例えば、キッチンの戸棚を開けると、いきなりそこからヘビが飛び出す場面とか、やっと一匹やっつけたかと思ったら、さらにもう一匹残っていて、シャーツと牙を剥く場面は、劇中の人間ならずとも、観ている、こちらの方もビビるほどだ。

これは、もうかれこれ46年も前の作品ながら、その"後味"の悪さから、観た後、いつまでも、記憶の底にくすぶり続けるそんな逸品だ。
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