よもぎ

キサラギのよもぎのレビュー・感想・評価

キサラギ(2007年製作の映画)
3.6
舞台作品のリメイク映画かなと感じた。
回想意外に場面転換はない密室劇で、画づくりに飽きさせまいという工夫を感じる。
脚本には鑑賞中「よく出来てるなぁ」と感心したが、難解なトリックから謎解きが展開される訳ではないので、本格性やリアリティを求める鑑賞者には作品の為の作品と御都合主義に評されそう。
当方はコメディと思い鑑賞したからか、誇張された強烈なキャラクター性や独特のテンポ感に身を浸して時折バカバカしさに笑い、うっかり涙ぐんだ。
そんな脱力感で見ていても「そこまで親切につくらなくても、余程娯楽慣れしてない限り直ぐ飲み込めるし予想できるよ」と、重要な場面で間延びした印象を受けた点は残念。

密室内の限られた人間関係が明らかになりゆく中で狭まっていきそうな世界が、当方には不思議と寧ろ広がっていく感覚だった。
最後には各人物と彼らに愛されていたアイドルを好きになっている不思議な心地を味わえた。
だからこそ二度見てみたくなる作品。

ライトな作風にこういった感想は似合わないだろうが、人には先入観や固定概念といった無意識下の偏見が必ずあって自分の枠に嵌めがちで、意識的に他人に何歩も踏み込まなければその視野が広がる事は無い事を再認識した。
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