義清

アンナの義清のレビュー・感想・評価

アンナ(1951年製作の映画)
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ナンニ・モレッティ監督が『親愛なる日記』(Caro diario, 1993年)に、シルヴァーナ・マンガーノが歌い踊るシーンを引用しているというが、なるほど、やはり、このシーンがいちばん好きだと思う。なんでかな?一気に物語の雰囲気が変わるからだろうか?それにあの曲がいい。いや、シルヴァーナマンガーノが歌う感じがいいんだ。ニューシネマパラダイスが引用してたラブシーンも見つけた。ヴィットリオのベッドにアンナがうつ伏せになって、肩の布をとってキスするところ。ニューシネマパラダイスだけしか観ていなかったら、てっきりあれがメインシーンだと勘違いするところだった。
ミサの席に並んでいる時に、アンドレアが改めて結婚を申し込む場面があった。それに困惑するアンナの表情をアップで撮ってるのがすごかった。つーか、よく考えたらアンナの顔面アップシーン多かったな。病院にアンドレアが担ぎ込まれてから回想のナイトクラブのシーンに移行する時も、アンナの窓辺でのアップシーンをきっかけにしてた。
最後のシーンも印象深い。老医師の「誰でもしくじる事はある」という言葉に対して毅然と「私はしくじりませんでした」と返すところ。そう、アンナは病院の前で9時に会おうというアンドレアの言葉に流されかけたものの、思いとどまった。そこにセリフはひとつもなかったけど、まるで揺れる心をつんざくように病院に乗り入れてきた何台もの救急車のサイレンが、アンナを修道院へと戻させた。そこに連想させられたのは、病院の中でアンナがアンドレアのプロポーズに返した言葉「何人もの患者が私を必要としている」というやつ。ストーリーは単調だけど、このおかげですごく後味がよくなってる。
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