へいけ

マイケル・ムーア in アホでマヌケな大統領選のへいけのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

タイトルThis divided countryを マイケルムーア in アホでまぬけな大統領選 にしちゃう所が突っ込み所。マイケルムーアを押し出した方が売れるからなんだろうけど、原題の含みがすっかり消えてて残念。配給会社がつけたのだろうか。

トランプ扇動をきっかけに観る。比較出来る程他国の事情を知らないが、この国の大統領選、論争はやっぱり熱狂的で扇動的だと思う。保守もリベラルも、主語が複数形。我々のために、という枕詞がつくと、言葉が勇ましくなり、強いことを言えるようになる。私のため、では言えないことが、我々のため、なら言えるようになる。そうして、我々 と違う意見を聞けなくなっていくんだと思う。

共和党がリベラルに対して全く聞く耳を持たないのはさることながら、ムーアの演説を妨害する人達が会場を追い出されるシーンは、やってること同じやないかい と突っ込みたくなる。監督がムーアじゃないのにそこで漸く気付く。反論に答えてこそのディスカッションなのに、お互いに論点を変えて批判するばかりで、正義対悪の二元論争。

ただ、言論の自由は、言う権利の保証だけでなく、違う意見を聞く義務もあるはず とか言っても、当事者からすれば難しいよなとは思い直す。ポピュリズム。だから、当事者じゃない人の視点も大事なはず。

事実はフィルターを通してしか見れない と宣うおじさんの絵のリマインドで終わるところはかなり好き。それでもドキュメンタリーに中立性を求めるのは、反論に対する反証がない主張には深みがない と感じるからじゃないかと思う。結論が違うのは良いけれど、その過程での対話が必要なはず。

ノリがムーアで観やすいし、色々問題提起してくる良い映画 だと思った。
へいけ

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