うめ

アイアンマン2のうめのレビュー・感想・評価

アイアンマン2(2010年製作の映画)
4.0
 今作は一作目よりも断然、良かった。一作目で何となくもやもやしていた正体が今作を観ることではっきりしたような気がする。
 前作はインセン博士によって命を救われ、今まで会社が製造してきた科学兵器からアーク・リアクターを取り出し、自身の生命維持装置、さらにはパワード・スーツを作り出し、後に「アイアンマン」となった。だが、アーク・リアクターに使われているパラジウムによってトニーの体に徐々に毒素が広がっていくこととなる…。ここが今作のストーリーのスタート地点である。ここから広がるのは、トニーがまさにただのスーツとしての「アイアンマン」ではなく、「トニー・スタークとしてのアイアンマン」となるまでのストーリーである。上記のように、前作で作ったアイアンマンの出発点において、トニーは完全に受動的である。だからこそ、ある意味「仮面」としてアイアンマンを着て、見せ物のように人々に披露する。それはペッパーの言うように「エゴの産物」とも言える。生命も危ういなか、トニーは先代で実父のハワード・スタークを超えることで、自分自身のアイアンマンを得る。(どうしたかは本編を観てください。)父子関係というわかりやすい関係性を盛り込むことでストーリーの筋を明確にしつつ、ヒーローにより深みを与えている。
 一方で、悪役も典型的な「エゴの産物」だ。ミッキー・ロークとサム・ロックウェルが存在感たっぷりで演じてくれたが(ハマーの小物感、半端ない(笑))、どちらも自分の欲を満たすために辺りを蹴散らかす、まさに悪役という印象だ。だが、忘れてならないのが、ミッキー・ローク演じるイワンも父の敵を討つというひとつの目的を持っており、そこにトニーと同様、父子関係が横たわっている点である。ヒーローと悪役、いやアンチヒーローの行動や目的がパラレルに描かれているのも脚本の妙である。
 あとは冒頭のスターク・エキスポから細かな設定がされ、それが作中で活かされている点である。登場人物もそれなりに多いが、よくまとめられている。前作同様、くすりと笑える要素もあるし、終盤の空中戦も迫力があるし、ジョン・ファヴロー監督演じるハッピーが前作以上に頑張ってるし(笑)…ただ単に娯楽ものとしても色んな楽しみが盛り込まれている。様々な作品の続編でこのクオリティーを観られることは少ないので、嬉しい限りだ。
 ちなみに、サミュエル・L・ジャクソン演じるフューリー長官も登場しているが、ちょろっと出てズバッと的確なことを言って去っていく…他のマーベル作品にもチラッと出演して、良い役所だなぁ〜(笑)なんて思った。


あぁ、ちなみにこの作品が縁となって、その後のジョン・ファヴロー監督作「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」にロバート・ダウニー・Jr. とスカーレット・ヨハンソンがゲスト出演するんですねぇ。この作品を見ているときに思い出しました。「シェフ〜」はファヴローが監督・脚本・制作・主演!映画作りで色々揉めた気持ちからこういう形で「シェフ〜」を作ったと聞きましたが…「アイアンマン」。大変だったんですね(笑)そして、愛されてんなぁ〜、ジョン・ファヴロー(笑)
うめ

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