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梟の城の福福吉吉のレビュー・感想・評価

梟の城(1999年製作の映画)
2.0
織田信長による伊賀攻めにより、伊賀の里が滅ぼされた。その10年後、信長は亡くなり豊臣秀吉の天下に治まり、伊賀忍者・葛籠重蔵(つづら・じゅうぞう)(中井貴一)は隠遁生活を送っていた。しかし、重蔵はかつての師匠より秀吉暗殺の命を受け、動き出す。やがて、重蔵の動きとともに、伊賀忍者の生き残りや甲賀の忍者たちも動き始める。

原作小説「梟の城」(司馬遼太郎・著)は読んでいません。

初っ端の織田信長の伊賀の住民皆殺しのシーンは短くともかなり残忍に描いていて、かなり衝撃がありました。しかし、その後の展開はテンポがあまり良くなく、時間が長く感じてしまいました。

信長が既に死んでおり、秀吉の天下になっており、主人公の伊賀忍者、葛籠重蔵の人生の幕引きのために秀吉暗殺をするという理由がいまひとつ理解できず、感情移入できませんでした。そしてストーリー進行によって秀吉暗殺の必要性がどんどん無くなっていくので、重蔵の行動も意味のないものになっていき、しらけてしまいました。

それに対して、伊賀忍者だったが忍者としての生き方に嫌気がさして武士として身を立てようとする風間五平(上川隆也)の心情は理解しやすいものでした。重蔵と並ぶ腕前の五平が手柄を上げていく様子は良かったと思いました。ストーリー終盤に重蔵と五平のストーリーが交錯した後の展開は皮肉的で五平の方が面白かった。

重蔵と関わる女性として、元姫君の小萩(鶴田真由)と伊賀忍者の木さる(葉月里緒菜)が登場して、ともに重蔵に好意を持つのですが、残念ながらあまり心惹く展開には思えませんでした。

忍者の戦闘シーンがあるのですが、アクションとして非常に地味で若干モタモタしているように見えてカッコよさがありませんでした。現実的な動きにしたのかもしれませんが、やはり忍者として非現実的でもスピード感のある戦闘シーンが観たいと思いました。

あまり面白みを感じることができない作品になっていて残念でした。

鑑賞日:2022年10月9日
鑑賞方法:BS/CS BSプレミアム
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