さっちゃん

悪人のさっちゃんのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
4.5
再鑑賞記録。

悪人は誰か。殺人犯か、逃避行に誘った女か、焚きつけたビッチ女か、その女を育てた親か、置き去りにした男か。騙した悪徳業者か、騙された老人か、家族を縛り続けた者か。子を捨てた親か。それを考え続けるのがこの作品のテーマである、と私は受け取った。
素晴らしかったのは、男をかこうことでしか自分の価値を測れない女・満島ひかり、爽やかイケメンに見せかけてクズの岡田将生、娘の裏の顔など知る由もない柄本明、地味な服が凄まじく似合う宮崎由子、そして光石研、樹木希林に松尾スズキ。脇を固める俳優陣があまりに素晴らしく、主役二人がとっくに霞んだ。市井の人たちの息づかいが聞こえてくるようで、感動した。
田舎の老人を悪徳商法で騙す切り口なんか、たぶんすごくリアリティがある。
映画としてもわかりやすく親切設計。諸悪の根源も殺されると立場が逆転してしまうところがなんとも興味深い。
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