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誰も知らないのmuのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.7
1988年に実際に起きた「巣鴨子供置き去り事件」をモデルにした作品。
子供たちの演技がとても自然で、ゆきちゃんの真っ直ぐな瞳が印象的でした。
テーマがテーマだけに重い映画です。

自宅で出産、出生届を出さない、学校に通わせないということが、この国でも出来てしまうことにまず衝撃を受けた。
もしかしたら今のこの日本のどこかでも同じようなことが起きているかもしれない。

映画を観て思い出したのが、山田詠美の「つみびと」という小説。
こちらも2010年の「大阪2児餓死事件」がモチーフになっています。
巣鴨の事件にも言えることですが、
ネグレクトは100%母親の責任ではないはず。
母親はもちろん罪を犯してしまった張本人であり、ネグレクトは悪いことだけど、
母親の育った環境や精神状態、子供の父親のサポートの有無、経済状況、他に頼れる人がいるかどうかなど、様々な要素が絡まり合って最悪の事態になってしまったのだと思う。
この映画ではコンビニの店員さんやアパートの大家さん等、手を差し伸べようと思えばできる人がたくさんいた。
周りがもっと助けてあげられる社会に、日本もなればいいなと思います。

最近は新型コロナウイルスによる外出自粛が原因でDVが増えているという報道を目にするようになりました。
辛い思いをする子供たちが増えないことを祈ります。
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