MANU

許されざる者のMANUのレビュー・感想・評価

許されざる者(1992年製作の映画)
4.0
1992年(アメリカ)
原題:UNFORGIVEN

監督:クリント・イーストウッド
脚本:デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
音楽:レニー・ニーハウス

出演(日本語吹替):
クリント・イーストウッド(山田康雄)
ジーン・ハックマン(石田太郎)
モーガン・フリーマン(田中信夫)


製作:クリント・イーストウッド
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス

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TX午後のロードショー「許されざる者」公開記念クリント・イーストウッド特集、第三弾は今回のリメイクの題材となった「許されざる者」です。同じタイトルですね。

同じイーストウッド主演の西部劇でも「荒野の用心棒」とはまた違った雰囲気。
「荒野の用心棒」はイーストウッドがとにかくハードボイルドでひたすら殺人の限りを尽くして行き、最後にほんのちょっと義理堅いところを見せるツンデレ風だったのに対し、
本作は元ワルの賞金稼ぎだけど、現在は改心し子供のために真面目で働く農園主が、家族を養うために数十年振りに渋々銃を取るって話なのでかなり対照的。

そんなかんじで今回のイーストウッドは基本的に優しいんだけど、物語終盤、仲間(モーガン・フリーマン)が敵に拷問された末に殺され更に遺体が晒し者にされたことでブチ切れます。
「荒野の用心棒」のイーストウッドもビックリな速さで瞬く間に10数人殺します。
「荒野の用心棒」のイーストウッドがツンデレなら、今回のイーストウッドはまさにデレツン。どちらもギャップがハンパじゃない。

あんだけ物腰の柔らかい人が急に怒り狂ったのは、目的も無しに人を殺し、更に人間の尊厳をまるで無視したかのように晒し者にするなど残虐の限りを尽くしたからじゃないかと推察してます。
それが仲間だったから尚更ね。
だから決してお前らを許すわけにはいかないということで、殺戮に走ったのでしょう。

しかし彼自身昔は残酷の限りを尽くした賞金稼ぎとして名を馳せていました。
もしかしたら1番「許されざる者」なのは自分自身である、といった自戒の念が最後の殺戮には含まれているのかもしれません。確かにその後立ち去るイーストウッドの姿にはかなりの哀愁が見られました。

殺人や復讐は何もいいものを生み出さないということを改めて感じました。
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