ペコ

21グラムのペコのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
4.2
本当にアモーレスペロスとバベルのちょうど中間みたいな作品…!
相変わらずの時系列切り貼りで混乱させる所はあるものの、主役の3人が重なるシーンは多く、ある事件を通した三者三様の見え方ということで焦点に一貫性もあり、三作の中では一番観やすい作品でした。
※『グラスを取って』のセリフから別の人物がグラスを取る場面に繋げる等マッチカットの多用もあり、他二作よりも場面転換での集中力が継続されやすいよう工夫されてるような気がします。

そしてベニチオデルトロ演じる男の、過去への贖罪から神に救いを求めても、そう簡単には報われない…むしろ現実はとことん非情である。という描き方は、後のビューティフルにも通じるイニャリトゥ自身の一つのテーマなのかもしれません。

劇中で繰り返されるそれでも人生は進むという言葉。文字通り人生最悪な出来事から始まる本作ですが、ラストには予想もしなかった希望が残されます。これも一つの心の治癒の映画ということでしょうか?観終わった後、21gの重みがずっしりと胸に残る一作でした。
ペコ

ペコ