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アメイジング・スパイダーマンのElasticReflexのレビュー・感想・評価

1.3
NYを舞台にスパイダーマンの誕生と活躍を描く。アメコミを原作とした作品。アンドリュー・ガーフィールド主演のシリーズ一作目。

とにかくテンポが悪く鈍重。何より語り口が下手すぎます。

色々と言いたい事があるのですが、ベンおじさんの件の展開はいくら何でも酷すぎませんでしょうか。信じられないほど淡泊に描かれるので、ピーターに喪失感がまったく感じられず、続く犯人捜しに意味を見出せません。なおかつ、結局、犯人については有耶無耶のまま。一連のエピソードに何の意味もないんですよね。

そして、スパイダーマンの大事なお題目である「大いなる力には~」の異様なまでの淡泊さ…何なんでしょうか。

そのため、スパイダースーツを身に纏う超重要なシーンにもヒーロー誕生というカタルシスは皆無。なおかつスーツ開発の雑な描き方も最悪。さらにスーツを身に纏う時と名乗る時が別という…マーク・ウェブ!お前は本当に下手か!と突っ込まずにはいられませんでした。

この見せる順番おかしくね?問題はキスシーンも同様です。とにかく早すぎます。どう考えたって二人でNYの町をスウィングしてからでしょう。しかも、このスウィングシーンをまともに描かないという体たらく。なおかつ暇さえあればチュッチュチュッチュ。するならするでもっとエロいことしろ!阿保か!

また、普段のピーターのキャラクターとスパイダーマンが同一人物とは思えず、スパイディお約束の軽口も躁状態のヤバい人としか感じられませんでした。あとさー、糸ですよ糸。メカから出てるのか身体から出ているのか、どうなってるんですかアレは?

一番の問題は、本作のピーター・パーカーは自分のために戦っているようにしか見えないことです。本作のピーターはやたらとマスクを脱ぎ(脱がされ)ますが、スパイダーマンを画一的なスーパーヒーロ―ではなく人間として描こうとしているのは、まあ分かるのですが、容疑者や同級生や警察に当たり前の様に暴力を奮ったり、人助けをするのはたったの1シーケンスのみだったり…そういう事じゃないだろ!

そのためクライマックスでのNY市民がスパイダーマンに協力するシーンとグウェンパパの余りにも唐突なご都合感には絶句してしまいました。あと解毒剤がそんな簡単に作れんのかい!とか。そもそもガスでどうにかなんのか?とか。書いてて思い出しましたが、スケボー推しは何だったの?とか。

あとはもう、ヴィランのデザインの悪さと魅力(ペーソス)のなさ、スパイダーマンのアクションが何だか妙に重くて爽快感がないのがね…もうさあ…重いといえば音楽の重っ苦しさもスパイダーマンのイメージにはまったくそぐわない。

サム・ライミ監督版にならないように、ならないように逆張りしたらスパイダーマンじゃなくなっちゃいました!的な一作。

非常に残念でした。

■監督:マーク・ウェブ
・脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト、アルヴィン・サージェント、スティーヴ・クローヴス
・撮影:ジョン・シュワルツマン
・音楽:ジェームズ・ホーナー
・原題:『The Amazing Spider-Man』
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