青眼の白龍

ホワット・ライズ・ビニースの青眼の白龍のネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

神経過敏な女性がバスタブに映る幽霊を目撃したことで、過去に起こした事故の真相に迫っていく作品。『裏窓』を意識したサイコホラーかと思いきや、夫婦の危機を描いたオカルト映画である。主演は名優ハリソン・フォードとミシェル・ファイファー。巨匠ロバート・ゼメキス監督がメガホンを取り、MCUのフィル・コールソン捜査官で知られるクラーク・グレッグが脚本を手がけている。

一応オカルトに分類されるが、仄めかしによる演出が中心なので心理サスペンスに近い。夫婦関係の危機を心霊現象に象徴させる手法はありがちだが、本作ではオカルトとサスペンスの配分を失敗し、どっちつかずの中途半端な出来になってしまった印象を受けた。何より主人公の思いこみが激しく、言動もヒステリックであまり共感できない。幽霊に執着する動機も不明。わざわざ故人の家から頭髪を盗むのはやりすぎでは? 怪しげな本に影響されて死者を蘇らせようと考えるのもヤバい。また写真立てに新聞記事が隠されていたり、重要な鍵が普通に落ちていたりと首を傾げる展開がチラホラ。奇妙な隣人や娘の存在、血のついた靴、遺伝子工学者という意味ありげな設定など、序盤に提示される情報がほとんど本筋と無関係なのもマイナスだろう。

不要なサブプロットを含めすぎた結果、脚本が破綻してしまったように感じる。主人公と夫を軸に物語を進めるのであれば、余分なエピソードを削ってでも二人の関係性を掘り下げるべきだったのではと思う。じわじわ水位が迫ってくるバスタブの場面だけはとても良かった。