佐藤克巳

醜聞(スキャンダル)の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)
4.5
法廷闘争は自作「羅生門」へのステップ、クリスマスの蛍の光を唄う弁護士志村喬は、「生きる」の公務員志村のゴンドラの唄へジャンプした印象が窺える黒澤明監督の社会風刺映画の秀作。週刊誌編集長小沢栄は、事実関係等どうでも良く、裁判で負けても小さな謝罪広告で済むからやっちゃえとばかり、画家三船敏郎と人気声楽家山口淑子のオートバイの恋を捏造したが、三船が小沢を殴って騒ぎは更に過熱する。志村は、その間隙を縫って示談交渉で一儲けを企んだが小沢は無視した。三船は、志村の娘で結核患者桂木洋子の天使の振舞いに絆され志村を信頼するが、小沢に買収され敗訴目前まで追い詰められるが、桂木の死で志村は目覚め勝訴した。なお、桂木の輝くような健気さと、木樵の高堂国典の剽軽さは格別だが、肝心のジャーナリズム批判は不徹底だった。
佐藤克巳

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