佐藤克巳さんの映画レビュー・感想・評価

佐藤克巳

佐藤克巳

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(秘)トルコ風呂(1968年製作の映画)

2.5

大原麗子は、初主演作で小悪魔振りを十分発揮したにも拘らず、東映エログロ路線にしては物足らず、東映だけに青春映画にも昇華しない凡作。

ひも(1965年製作の映画)

3.5

東映任侠路線の添え物B級中でも山椒は小粒でもピリリと辛い関川秀雄監督の、幹部を目指すひも梅宮辰夫と八王子から家出のスケ緑魔子の愛憎劇の佳作。緑が、バーマダム女衒ロミ・山田が消され後釜に座る組長妻春川ま>>続きを読む

赤頭巾ちゃん気をつけて(1970年製作の映画)

5.0

あの時代の空気そのもの。私の中では、日本映画ベスト・ワン🐶で語り尽くせない。

夜の診察室(1971年製作の映画)

5.0

ニクソンショックがあり昭和元禄が終結しようとしていた影響か?大映が倒産の憂き目に遭い最後の公開作が、関根恵子、大門正明の「遊び」と本作。好調の帯盛迪彦監督が、初主演の松坂慶子をセックスカウンセラー助手>>続きを読む

高校生ブルース(1970年製作の映画)

5.0

テレビ映画「おくさまは18歳」に始まる岡崎友紀シリーズと並び、高校進学したばかりの私は、高校生気分を頗る満喫させてくれた帯盛迪彦監督作品の一群を敬愛して止まないのだが、同学年の関根恵子デヴュー作にして>>続きを読む

懲役十八年(1967年製作の映画)

4.0

安藤組組長安藤昇自伝を加味した笠原和夫、森田新脚本が、実録路線「仁義なき戦い」への予兆を示す優れ物とは言え、日活に鈴木清順あれば東映には加藤泰監督ありの力量を魅せた占領期日本の闇を暴くアクション映画の>>続きを読む

影武者(1980年製作の映画)

4.0

コッポラ、ルーカスのプロデュースで世界配給となった点は評価するが、冗長で押し付けがましく退屈な巨匠黒澤明監督の戦国巨編。武田信玄と影武者を演じ分けた仲代達也は、流石に力演したが、やっぱり適役は三船敏郎>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

5.0

学生🧑‍🎓時代に深夜映画五部作纏めて観たが、主人公広能昌三菅原文太、親分山守義雄金子信雄、その妻利香木村俊恵及び牧原政吉田中邦衛以外、役者配役がコロコロ変わり頭がパニックになるが、本作だけは別格の感動>>続きを読む

二百三高地(1980年製作の映画)

5.0

小賀武志少尉あおい輝彦のトルストイ敬愛の博愛主義も、乃木希典仲代達也の人道主義的厳格な軍律も通用しない近代戦の非情な惨禍に暫し驚愕したのは明治人も現代人も同じ。明治天皇三船敏郎、元老伊藤博文森繁久彌、>>続きを読む

地獄の天使 紅い爆音(1977年製作の映画)

3.5

プログラムピクチャーを堅実に熟す内藤誠監督の、一世風靡したスケバン映画の末路的作品だが、森下愛子を女優に見出し、「十代恵子の場合」の下地になった佳作。小指を失いギターリスト🎸崩れ鉄砲玉となった小野進也>>続きを読む

十代 恵子の場合(1979年製作の映画)

5.0

青春映画不毛の東映に咲いた仇花とも言うべき、内藤誠監督のスケバン映画の金字塔「番格ロック」の姉妹篇に位置する森下愛子主演の清純女子高生転落譚を描いた稀に見る傑作である。やくざ兄貴分三浦洋一との純真な初>>続きを読む

警視庁物語 全国縦断捜査(1963年製作の映画)

3.5

秋田書店「日本映画100選」で紹介された一本で、東映名物「警視庁物語」シリーズ中の随一とされる飯塚増一監督作品を初見。捜査主任神田隆を中心としたベテラン刑事の連携の良さと、地味乍らドキュメントタッチの>>続きを読む

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969年製作の映画)

3.0

フリークス映画「怪物団」の衝撃を期待したが特殊メイクや特撮が杜撰でがっかりした上、新東宝先輩中川信夫「地獄」に遠く及ばず、井上梅次テレフューチャー「天国と地獄の美女」にも見劣った石井輝男監督の野心作。>>続きを読む

エロ将軍と二十一人の愛妾(1972年製作の映画)

4.5

鈴木則文監督のエログロナンセンス時代劇映画の集大成で、鼠小僧池玲子が仕組んだ第十一代将軍徳川家斉の替玉で風呂屋の三助角助林真一郎が、抱腹絶倒、酒池肉林の大奥世界を現出して、現代日本を皮肉った傑作。角助>>続きを読む

緋ぢりめん博徒(1972年製作の映画)

4.0

鶴田浩二、高倉健共演最後で任侠映画の挽歌的名作「博奕打ち外伝」と併せて観た石井輝男監督の「緋牡丹博徒」シリーズ後継作品で、ポスト藤純子鬼百合のお勝中村英子、浜千鳥のお紋藤浩子、流れ星のお蘭松平純子の競>>続きを読む

ポルノの女王 にっぽんSEX旅行(1973年製作の映画)

4.5

「胎児が密猟する時」より「コレクター」っぽい東映にしては上質の青春映画の秀作。魅力はスウェーデン🇸🇪洋ポル女優クリスチナ・リンドバーグの均整の取れたボディと幼なげな顔立だが、クリスチナを緊縛するダーテ>>続きを読む

影狩り(1972年製作の映画)

3.0

元日活の鬼才舛田利雄監督、大スター石原裕次郎主演の残酷非道さいとうたか劇画の時代劇映画化だが、十兵衛裕次郎が武士の殺陣と振舞の不慣れが致命的に駄目。逆に、月光成田三樹夫は流石に素晴らしい。浅丘ルリ子、>>続きを読む

東京オリンピック(1965年製作の映画)

5.0

おそらく、世界平和の祭典に値する唯一無二の五輪だった1964年東京オリンピックという幸運と、太陽を国旗に戴く敗戦からの復興を成し遂げた日本の民族叙事詩飾る祭典であり、スポーツ音痴市川崑監督だったからこ>>続きを読む

五匹の紳士(1966年製作の映画)

1.0

一連の映像処理を観ていると、やっぱりテレビ屋さんの仕事だな。結局、主人公仲代達也は何もやらない犬死じゃん!子役上原ゆかりのみ記憶に残る。

侍とお姐ちゃん(1960年製作の映画)

3.0

明朗快活なシリーズ中では凡作の部類で、香港資産家と偽る詐欺師三橋達也の悪役が珍しい。

用心棒(1961年製作の映画)

5.0

三船敏郎か用心棒か?と、巨匠黒澤明と並びキャラが立った「世界のミフネ」誕生の瞬間であり、マカロニウエスタンに波及しサム・ペキンパーのバイオレンス物に発展する世界のアクション史の金字塔となった歴史的傑作>>続きを読む

あこがれ(1966年製作の映画)

5.0

我が煌めく東宝青春映画の出発点であり、我が永遠のスター内藤洋子のベストワン。流麗な逢澤譲の撮影に、心地良い武満徹の音楽を配し、山田太一脚本の切々と思いやりの心を描いた恩地日出夫監督の傑作。何度観ても涙>>続きを読む

事件(1978年製作の映画)

4.0

少年永島敏行の殺人・死体遺棄の疑いを裁判審理する野村芳太郎監督の推理サスペンス映画で、裁判長佐分利信の厳正中立な裁判進行及び検事芦田伸介、弁護士丹波哲郎の法廷での攻防を見事に浮き彫りにした新藤兼人脚本>>続きを読む

幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)

2.5

網走刑務所から出所した高倉健が、武田鉄矢と桃井かおりの車に同乗するロードムービーだが、山田洋次監督の勿体ぶった演出が多々見られ、ド派手な黄色ハンカチが翻るラストには興醒めした。元ネタのドーン「幸せの黄>>続きを読む

修羅雪姫 怨み恋歌(1974年製作の映画)

3.0

幸徳秋水の大逆事件を下地にした明治暗黒史といった類だが、修羅雪姫梶芽衣子の独壇場の醍醐味が薄れ、剣🗡️は銃🔫に弱しを曝け出し、期待ハズレとなった藤田敏八監督の残念作。

鬼畜(1978年製作の映画)

3.5

野村芳太郎監督が、先の2作「影の車」「砂の器」をブレンドして、手慣れた松本清張原作物に職人的手腕を駆使して出来上がった内容で、安定感は抜群だが、さして感動はしなかった。能登の崖から突き落とされ救出され>>続きを読む

修羅雪姫(1973年製作の映画)

4.5

プレイボーイで愛読していた上村一夫原作漫画を好調藤田敏八監督が、エキサイティングな耽美的アクション映画の快作を生み出し、藤田組常連で「野良猫ロック」シリーズでスターに押し上げた梶芽衣子の代表作とした。>>続きを読む

太陽の墓場(1960年製作の映画)

2.0

大阪の吹き溜まりスラム化した釜ヶ崎を舞台に、闇の血液銀行、三国人への国籍売買等にメスを入れた問題作だが、後半焦点が定まらず退屈で、観る度に評価が下がる大島渚監督作品。結局、大島の映画で増しな作品って、>>続きを読む

黒の奔流(1972年製作の映画)

2.0

法廷内の展開早々、被告人岡田茉莉子の雰囲気からビリー・ワイルダー「情婦」と読めた上に、その後「陽のあたる場所」と読め、岡田が弁護士山崎努を刺す後味悪い結末にうんざりした。

競輪上人行状記(1963年製作の映画)

4.0

「青春の海」「花を喰う蟲」等の秀作、日活ロマンポルノのエース西村昭五郎監督デヴュー作で、文芸座「陽の当たらない映画祭」で拝見し「月曜日のユカ」と共に感動を受けた名作。葬式寺住職父加藤嘉の策略で教師を退>>続きを読む

非行少年 若者の砦(1970年製作の映画)

5.0

蔵原惟繕の弟子らしいパッションの高い藤田敏八監督の、鑑別所上がりの大卒自動車整備工地井武男と妾の子非行少年石橋正次との反骨精神溢れる青春映画の快作。石橋が強姦した女子高生隅田和世は学園紛争の活動家、警>>続きを読む

日本春歌考(1967年製作の映画)

1.0

妄想強姦と今は廃れた騎馬民族説?何のこっちゃ?

故郷(1972年製作の映画)

4.5

「家族」が日本縦断なら、本作は広島県内に限られ、「瀬戸の花嫁」ヒットに沸いた瀬戸内海に浮かぶ倉橋島で、石船で砂利運搬を生業とする一家の物語。オイルショックで燃料費高騰、大手参入による収入減少に追い込ま>>続きを読む

家族(1970年製作の映画)

3.5

「東京物語」を意識しながらオールロケ、セミドキュメンタリータッチで描かれた山田洋次監督の社会派映画。1960年代高度成長期、太平洋ベルト地帯取分け西日本の工業都市が推進役となり発展を遂げた形跡が綴られ>>続きを読む

青春残酷物語(1960年製作の映画)

3.5

松竹ヌーベルバーグが命名された記念すべき大島渚監督の第二作青春映画だが、遅れて来た太陽族映画といった印象で、前年日活の小林旭と浅丘ルリ子の舛田利雄監督「女を忘れろ」の粋な別れからも周回遅れも甚だしい。

バージンブルース(1974年製作の映画)

3.5

「赤い鳥逃げた?」「妹」にあった遊び心や躍動感を全く感じない、中年落伍者長門裕之と万引き犯予備校生秋吉久美子の無軌道な逃避行に、公開当時と変わり無く失望感を禁じ得ない藤田敏八監督作品。この後の藤田のス>>続きを読む