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ロスト・ハイウェイのH4Y4T0のレビュー・感想・評価

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)
4.0
密かに開催していた「デヴィッド・リンチ監督作品鑑賞祭」もいよいよ折り返し地点に差し掛かって参りましたので、ここらで一旦進行状況を整理しておこう。レビューとは関係ないが、他に書く場所が無かったのと一応備忘録ということでご了承下さい。
※下の方にレビュー載せました。

以下、全10作品映画公開順。
『イレイザー・ヘッド』未鑑賞
『エレファント・マン』鑑賞済み
『デューン/砂の惑星』未鑑賞
『ブルーベルベット』鑑賞済み
『ワイルド・アット・ハート』鑑賞済み
『ツイン・ピークス-ローラ・パーマー最後の7日間』未鑑賞
『ロスト・ハイウェイ』←New!
『ストレイト・ストーリー』未鑑賞
『マルホランド・ドライブ』鑑賞済み
『インランド・エンパイア』未鑑賞

今回はそんなデヴィッド・リンチ監督の作品第7作目にあたる『ロスト・ハイウェイ』の鑑賞記録です。例によって予備知識は一切無し、男は度胸。自ら不条理な“リンチワールド”に丸腰で出陣し、丸腰で帰還する。「来る者は拒まず去る者は追わず」なスタンスで、丁度良いところに踏みとどまることが重要。最後まで持つかなぁ・・・。

〜ここからレビュー〜
という訳でいざ鑑賞。さて困った。一体何が起こった?
案の定、というかこれまで以上に難解で上手く説明することができない不可解な謎。
映像に隠されたヒントを探し求めても、出てくるのはリンチ特有の「こじつけがましい演出」ばかり。
故にこれで合ってるのか?という自分なりの解釈をしたところで簡単に答えは返ってこない。
ある程度”リンチ耐性”が付いてきたとて、相手は毎回違った趣向で鑑賞者の思考力を苦しめる才能に長けた真性のサドだ。
やはり一筋縄じゃいかない、流石に今回ばかしは心が折れました…くっ悔しい。

主演は『インデペンデンス・デイ』で美味しい場面ばかりかっさらっていった”アメリカマンセー”大統領ことトーマス・J・ホイットモアを演じたビル・プルマン。
続編『リサージェンス』で名誉も地位もへったくれもない粗雑な扱いを受けたプルマンに対し、相手役はクエンティン・タランティーノ脚本/トニー・スコット監督のバイオレンス・アクション・ロード・ムービー『トゥルー・ロマンス』でド派手なアクションを披露し、2019年上映の『トイ・ストーリー4』への声優出演が決まったパトリシア・アークエット。下克上かな?格差社会の世知辛さを痛感した。

ストーリーのモチーフとなった「O・J・シンプソン事件」について調べてみても、リンチ監督が何を目指していたのかは理解不能。
着想を得たというくらいだから、ヒントになり得るシーンがあっても真相がわからなければ意味がない。と思ったが、今作のリンチは一味違う。
舞い降りたインスピレーションをそのまま作品の”凄み”として描き、強引に見せかけた展開も実はプロット毎に意味や意義があったのかもしれない。

BGMを鳴り響かせながらアメ車でハイウェイを駆けるシーンはミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム』のオープニングを彷彿とさせ、序盤でフレッド邸に届いたビデオテープの件はラース・フォン・トリアーの『隠された記憶』のような深層心理サスペンスを示唆させる。
中盤以降はもう訳わからなさ過ぎて、ぶっちゃけどうでもよくなってくる。
肉慾に溺れた男女の濃厚なベッドシーン、のたうち回るマリリン・マンソンetc…
これを”見所”として捉える事ができたのなら、どんなに幸せだったことか・・・。
然し丸投げしたとて最後までじっくり観れちゃうのが本作の凄いところ。皮肉なことにテンポは良く、はっきりと塗り分けられたプロットで作品自体は非常に見易い。
ロスト・ハイウェイ(失われた幹線道路)を疾走するかの如く急速な展開の中を、ただひたすら闇雲に駆け抜けるイメージを連想して頂けましたら、きっとお分かりになるかと(いやわかんねーよ)。
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