演出といい物語といい取り立てて目立つところのない平凡な出来栄えのコメディ調ヤンキー映画だけれど、実質的な主役をつとめる我王銀次の伊丹万作作品の片岡千恵蔵を彷彿とさせる飄々とした三枚目ぶりが板についていて他のヤンキー映画にはない春風駘蕩な味わいを出しており悪くなかった。でもこうした独特な個性を持っている俳優が三十三歳という若さでこの世を去っていくなんてこの世界は残酷だとしか言いようがない、もし存命だったらほぼ同年代の遠藤憲一のように活躍していただろうに。
若い頃の杉本哲太や豊原功輔、椎名桔平(本名の岩城正剛名義)が出ているのも見所の一つ。
ラストは秋元康作詞のアイドルソングで、アイドル映画を見終わったような変な余韻に。
