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嵐を呼ぶ友情のshimiyo1024のレビュー・感想・評価

嵐を呼ぶ友情(1959年製作の映画)
4.0
ちょうど2年ほど前に『嵐を呼ぶ楽団』(超高評価)をスクリーンで観たのち、兄弟作のようなこれがアマプラにあったが観ぬ前に配信終了してしまってたところ、最近復活したようなので

オープニング、めちゃ鮮明でありがたい銀座の眺望が昼から夜へモーフィングするのだが、電光掲示板だとかの表示は自然に動いたままで、セットやCGでなしにどうやってるのか全く分からなくてすごい

ベレー帽トランペッターの宇野重吉、新鮮な役柄!
浅丘ルリ子と話してるとき、いやお前が旭を遠ざけてルリ子を不幸にしているんやろが、と誰もが突っ込んでしまう

しょっぱなのジャズ描写から期待させる、が、次のシーンでさっそくキッチュな歌謡ジャズショーときて、純粋ジャズ映画の希望は打ち砕かれてしまう笑
しかし『楽団』同様ジャズ自体、ジャズメンたちの描写は一本筋通ってるのでやはり十分、志の高いものといえる
てか、井上監督がどれほどそのあたりに自覚的だったのか、本人の言葉は残ってたりしないんだろうか?これほどジャズの何たるかを本当は解ってはいるはずなのに、どういう思いでそのあたりを折衝していたのか

家族愛ものである点、最終的にジャズギター弾いては歌うキャラ目指す点で『嵐を呼ぶ男』と『楽団』の中間といえそう

小林旭、タートルネック良い
後半でやっと流しシーンが出てくるのは小林旭のキャラ演出としてどうなのだろう?
ともかく、待たせた分余計ではあるが、ジャズやアメリカの薫陶を受けてきて、反動にしてもここまでのモロ歌謡かよ、とズッコケてしまう…
過去のトランペット練習、開眼してからのギター練習も、チャゼル『セッション』的、現実に即さないテクニカル、スポ根なおバカさ
肺活量の問題もそうだが、テク以外のやり方なんて全然あるし…

小林旭、アンプに座ったり足掛けたりしてるのかっこいい
ギター初めて最初のセッション、ライブのシーン、ドラムレストリオで渋い

宇野重吉が吹いている設定のラジオから流れてくる日本ジャズ黎明期音源はそれっぽくて良かった

大団円のガチ大編成ライブシーンはさすがに素晴らしい、トランペットとギターのソロ回し!
が、からの、小林旭歌う『いとしの恋人』ぶっ込みの、これまた音楽的コンフリクトでズッコケてしまう…
元がジャズ歌謡ってほどでもないので、テーマ以降なおさら無理ジャズをくっつけてる感じで、なおさら齟齬がすごい
さらには!小林旭含む3人でパパに捧げる歌的なコーラス歌謡を歌い出し、『楽団』と同じ轍を…
直前、感極まっていた宇野重吉も肩や腰に手を回されながら「やっぱもうダメや…」と表情が凍りついているように見えてこちらも辛くなってしまう

・『楽団』でも出てきたように記憶している、半地下の練習室、この練習室、外との出入りシーンを見るに、ロケなのかなぁ?雪も本物っぽいしよく映えてて良い…
・アコギを雑に置いたときのポーンという音を鳴らしてて細かかった、トランペット投げ捨てがち、笑う
・歌えるトランペッターにもなり得るということで、やはりチェット的描写は期待してしまった
・一瞬の乳首
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