空きっ腹に酒

スプリング・フィーバーの空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)
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春は嵐を呼ぶ季節。
うずく欲望を抑えることも出来ず、欲しいままに貪り合う互いのからだ。まだ少し寒さの残る中、彼らは眠っていた花を咲かせる、春がくるのを待っていたかのように。初めて咲いた花と、摘むんだ(つむがれた)花たち、枯れて散っていった花もある。誰かがしあわせな時、別の誰かは悲しい顔をして過ごしている。誰もがみんなしあわせでいられたらいいのに、だけど世界は残酷で、誰もかもがしあわせな場所から離れたところにいるように思う。揺蕩うように、漂うように生きる彼らは、みな別の場所へと行ってしまった。しあわせな時もあった、それはあなたの腕の中で、あなたのぬくもりを感じた時。永遠の中にいるようで、あまりにも刹那的な瞬間。でも僕は、その一瞬のために生きていたのかもしれない。

蓮の花言葉を知ってるかい?“清らかな心”そして、“離れゆく愛”。まるであの頃の僕たちを表しているようだ。僕は君を忘れることはないだろう、この僕の蓮の花に誓って。さようなら、あの頃の花たち。僕はきっとこの先も、僕の花を咲かせるだろう。
空きっ腹に酒

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