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父ちゃんのポーが聞こえるのmitakosamaのレビュー・感想・評価

父ちゃんのポーが聞こえる(1971年製作の映画)
3.7
スカパーにて。前情報無く見たら凄い良かった。
どうも実話を元にしたらしい。

機関士の父ちゃん(小林桂樹)。娘ノリコ(吉沢京子)に無踊病(ハンチントン病)になり全身麻痺。

父ちゃんの同僚に藤岡拓也。機関車の釜焚きを担当して、機関士の試験は落ちまくり。呑むと絡む。でもノリコちゃんを可愛がっていて養女に欲しがるくらい。
非常に面倒くさいが、どこか憎めない。人間臭い人。

序盤、わざとらしく転ぶノリコちゃん。実は病気だとわかり学校と併設した病院に入院。

割と心の中の声を上乗せしてる。
「私は何で生まれてきたんだ」「父ちゃんなんか来なくても良い」「私は一人だ」「好きな人が出来た。フワフワする」など、本来ならダサいと思っちゃう演出。

でも症状が重くなり身体が動かなくなり言葉も発せられなくなると、心の声演出が実に染みる。

症状が悪化し奥地の病院に転送したが、病室に聞こえるように汽車の汽笛を鳴らす。
コレがタイトルの元。
だが、事故で父ちゃんも入院。変わりにウザ友の藤岡拓也が汽笛を鳴らす。それがノリコちゃんが聞いた最後の汽笛になる。泣ける。

父ちゃんも苦悩するが、最終的に娘の死を踏まえて生きていく。
介護に悩む側の救いになって終わるのが嬉しい。

機関車の描写も良いね。劇中でも電車への移り変わりを示唆している。無くなる運命の汽車だが、序盤は山道・中盤は街中を走ることで表している演出が心憎い。
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