はやし

エレファントのはやしのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
4.5
無駄にカットを割らず長回しが多いから、
高校生たちのリアルなドキュメンタリーのような映像。

犯人目線でも誰か1人の目線でもなく、
それぞれの生徒(犯人も含めて)を追うことで、
それぞれの生徒たち、職員たちの日常が壊れていく様がより現実的に生々しく見えるのだと思う。
アメフトして、食堂でご飯食べて、図書館行って、ダイエットして...ごく普通の一日のはずだった。
食堂の厨房の裏に職員が隠れてタバコ吸ったりするところなんて、普通映さなくていいものだもん。

誰にでも撃たれる可能性があったということ。

それぞれの人物が歩く姿を後ろから追う長回しがとにかく多くて、そのたびに流れる音楽で不安が予兆される。
赤いパーカーを着た少年(ネイサン)がただ校庭から校舎へと歩いていく後ろ姿を追ったカットも、カメラとの距離感や音楽で何か不安を予兆される。

それぞれの人物らに接点がなくても、
学校内ですれ違ったり、他の人物を追ってる間に、実は他の人物が別のことしてたりする。
そういうのも、学校らしいリアル。

時間軸がしっかり分かるように描かれているから、それぞれの人物を追ってても、混乱せずに繋がる。

「エリーゼのために」弾くアレックス。
銃で敵を倒すゲームの画面。薄暗く曇っていく空。

長回しの分、人物の導線が計算され尽くしてる。

たくさんの人物を順番に追ってる分、
犯人のアレックスとエリックの関係はイマイチ分からなかった。

セリフは台本ではなく現場で作り上げられていったもので、高校生が演じるよりリアルな高校生が描かれている。
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