千秋姫

プールの千秋姫のレビュー・感想・評価

プール(2009年製作の映画)
3.0
過去鑑賞済み。



『かもめ食堂』に続いて『めがね』を観たので、
流れ的に『プール』。

かもめ食堂はまぁまぁ良かったけれど、
めがねではガッカリ。
そして『プール』!!

これは、この3作品の中でダントツ1番好きです、ワタシ。

台詞が少ない映画は、大抵どちらかに転ぶから
賛否両論あると思うし、この映画に関してのあたしの感想は、
恐らく少数派の類だと思う。

90分という時間や唐突に終わるエンディング・・
にくい!!!

難しいと言えば難しい映画になるのかもしれない。
物足りなかったという感想もあるに違いない。
そして、ただただ流れる空気のような90分に、
なんだこの映画!?と思う人も少なくないと思う。

でも、あたしの感想としてはこの映画、
実はとても濃い内容。
濃いと言うよりも、重い映画だと感じました。

流れるように進むストーリーだけれど、
『かもめ食堂』のような優しいだけの雰囲気だけでは終わらない。

DVDにバーン!と書かれていた
“理由なんて、愛ひとつで十分だ”
というキャッチフレーズ、そのまんま。

人と人との距離感は、とても難しい。
私があなたの傍にいないのは、
決して“愛がないから”ではないのよ。
私は、あなたの事をよく知っているから。

・・・あぁ、なんだか観終わっても胸の奥が温かい。
それでいてシュンともなるし、ニコッともなれる。
不思議な感じ。
泣けました(´;ω;`)

プールには、海とは違って人工的に造られた枠がある。
そしてその中に水がある。
魚もいないし、石や岩もない。
ただただその枠の中に、水がある。
ただ、それだけ。

目の前にプールがあり、そこに人が浮かんでいたとして
その浮かぶ人に対し、
ただプカプカと浮かんでいるだけのように見えるならば、
きっとそれこそがあなた自身なのでしょう。
とでも言われているような…。

突き放されていながらも、愛をたっぷり感じる映画でした。

様々な人間関係を経験して、
そして沢山の人を愛して、愛されて・・・。
色んな人間と関わった人ほど、グッとくるものがある映画なのかもしれない。

こういう、
“ただ映像だけが良い映画”
で終わらない映画、大好き。
千秋姫

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