Sho

グラン・ブルー/オリジナル・バージョンのShoのレビュー・感想・評価

4.8
海が好きで、波があれば波乗り、凪いでいればスキューバダイビング。とくに社会人になりたての頃は、毎週末、国内外の海を潜っていました。ちょうどそんな時期に封切られのが「グレート・ブルー」という英語の短縮版で、海好きのアンテナに引っかかったので観たのですが、その時はあまりピンときませんでした。

が、そのおかげで、ボンベやレギュレータに頼らず、肺の中の空気だけで海の深みを目指す競技、フリーダイビングを知りました。さらには、雑誌BRUTUSがオリジナル版の「ル・グラン・ブルー」の特集号を発売。本国フランスで若い人を中心にロングラン上映をしていること、そして、日本でも近々、そのオリジナル版を上映する予定であることを知ったのです。

早速、前売り券を購入。準備万端、公開初日に映画館に押しかけ、すっかり作品世界の虜に。基本的にはフリーダイビングを軸に男2人と女1人+イルカという変則的な三角関係のストーリーが展開しますが、短縮版と違い、ジャックとエンゾの関係がより深く描かれていて、3時間という長尺も飽きるどころか何度も繰り返し観る欲求を抑えきれず、公開時に3回。その後、レーザーディスクやVHS、メイキング映像、DVD、BDと買い漁り、延べ何回観直したか分かりません。当時は流す音楽もすべてこの映画のサウンドトラックで、ダイビングで行く先々の国でイルカのグッズを買い集め、フィンも映画に出てきたロングフィンを友人にフランスで買ってきてもらってこれみよがしに使ってた……それくらい人生に影響を受けた映画です。

日本語字幕の意訳が散見されますが、なかでも話題になったのが、ジョアンナの最後の言葉”Go! go and see, my love “。字幕の「私の愛を見てきて」というよりは「行きなさい、そして見てきなさい。愛しい人」という方が個人的にはしっくりきます。

きっと、同年代には同じようなハマり方をした方がたくさんいらっしゃるに違いない。それくらい、ある一定の層に刺さり、まさに一世を風靡した作品。

個人的には「小さな恋のメロディ」と一、二を争う存在で、この2作品は一生通じて不動のNo.1、2になると思います。
Sho

Sho